去る10/1フランスのパリロンシャン競馬場で開催された凱旋門賞。今年はフランス🇫🇷、イギリス🇬🇧、アイルランド🇮🇪、ドイツ🇩🇪、そして日本🇯🇵と5カ国から15頭が参戦。今年は日本からキャロットのスルーセブンシーズ(牝5/尾関)が参戦。昨年の日本馬の惨敗の影響を受けてか1頭のみの寂しい陣容でした。
そのスルーセブンシーズは宝塚記念では現在世界最強の馬であるイクイノックスにタイム差無しの2着。重賞勝利は今年の中山牝馬Sの1勝のみ。しかも2023年の1月段階ではまだ条件クラスの馬でしたから、世界最高峰の舞台でどうか?という疑念はあったかと思いますが、イクイノックスとタイム差無しは価値ある2着でしたし、何と言っても父はステイゴールド系のドリームジャーニーという点も大きなポイントでした。ドリームジャーニーの全弟オルフェーヴルは2年連続凱旋門賞2着。同じくステイゴールド産駒のナカヤマフェスタも凱旋門賞2着。さらに同じくステイゴールド系の前述のオルフェーヴルを父に持つマルシュロレーヌ、ウシュバテソーロ、オーソリティ、シルヴァーソニックは舞台は違えど海外で活躍。父系の海外遠征での強さは随一です。
ただ1番人気は無敗のフランスダービー馬エースインパクト(牡3/フランス)でした。3戦3勝で迎えたフランスダービーでは道中最後方から直線では鋭く伸びて3.1/2馬身差(0.5秒差)の勝利。前走のギョームドルナノ賞も勝利して5戦5勝で凱旋門賞を迎えました。
日本での2番人気はウエストオーバー(牡4/イギリス)。前年のアイルランドダービー馬で、今年に入ってサンクルー大賞で2つ目のG1タイトルを獲得しました。ドバイシーマクラシックではイクイノックスの2着に入っています。前走のキングジョージ6世&クイーンエリザベスSではフクム(牡6/イギリス)の2着。ただ、長い直線の叩き合いで僅かに及ばなかっただけ。そのフクムも出走していたのですが年齢で嫌われたのか人気は落としていました。
結果はご存知の通り、エースインパクトが後方から直線大外に持ち出されると突き抜けて差し切り勝ち。進路も考えると着差以上の完勝でしたね。これでG1タイトルは2つ目。父クラックスマンはフランケルの初年度産駒の1頭。父は気性が前向きでマイル〜2,000mが適距離でしたが、クラックスマンは2,410mのG1ガネー賞も勝利。英チャンピオンSを2017-2018と連覇し、2018年のレーティングは世界一を記録した馬でした。ちなみに今回の凱旋門賞の上位3頭の🥇エースインパクト🥈ウエストオーバー🥉オネストとも父系はフランケルで、フランケルの孫と産駒でした。ちょっと前まで全部ガリレオ産駒だったんじゃない?というような欧州競馬の血統勢力図も大きく変わりましたね。
そして何と言ってもスルーセブンシーズですね。後方でエースインパクトと同じような位置取りでしたが、直線では馬群の間、間を縫うように伸びて4着入線。ジョッキーカメラを見ましたが、その様子がよく分かる映像でした。過去の日本牝馬では最先着の成績ですし、最高の結果とはならなかったものの十分誇れる結果ですね。10/6に成田空港に無事到着。間隔的にエリザベス女王杯は厳しいでしょうから、帰国初戦は有馬記念になるでしょうか?もしくは香港?5歳牝馬なので残された現役期間はあと半年。最後はドバイ遠征ということもあるかもしれませんね。
総額1,800万円。一口4.5万円の馬がこれだけの結果を残してくれる訳ですし、血統も決して良血という訳ではありません。それでもこうやって活躍してくれる訳ですし、本馬も母馬優先対象馬。キャロットのアワブラ制度はやはり魅力的ですね。
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